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個別指導塾のメリット・デメリット

私は個別指導教室の教室長(兼講師)、また、個別指導教室の内務チームを勤め上げてきました。

現場で個別指導の経験をされてきた方は多く、その視点でのコラムは多くありますが、バックオフィスからの視点で語られるものは少ないように見受けられます。個別指導に関するお話でも、広告面やテキストの選定、講師の採用面など、あまり見られないようなお話が出来ればと思っています。これから個別指導塾開講を検討されている方、また、FCの加盟を考えておられる方の一助となれば幸いです。

まず、今回は総論的なお話として、個別指導教室のメリット・デメリットについて触れようと思います。

個別指導とは

その前に、まずは個別指導とは何か、という話をさせていただきます。

個別指導は、学校のような「講師1人:生徒複数人」で、講師が授業時間内に複数生徒に対して授業を行う形式(以下、「集団授業」)と異なり、「先生1人:生徒少数」の形式で授業が進められます。生徒少数と書いたのは、個別指導塾によって生徒数が異なるからです。1名や2名のところが多いように見受けられますが、先生1名に対して生徒5名まで受け入れされているところもあるようです。

集団授業のように授業内容が決まっているわけではないのも大きな特徴です。個別指導ではオーダーメイド、つまり、生徒あるいはその保護者の要望に応じて内容を決定します。開講時間ならいつでも生徒を受け入れることから、時間や期間、授業回数による制約を受けにくいのも大きな特徴です。

個別指導の強みは「柔軟性」!

個別指導の強みは、間違いなくその柔軟性です。

集団授業形式ですと、内容・カリキュラムが決定しているため、どうしても生徒の理解度に対して授業内容が合わないというケースが出てきます。
個別指導の場合、授業内容がオーダーメイドとなるため、「生徒の学習理解度に合わない」というケースはほぼ起こりません。時間や期間、授業回数による制約が少ないことから、「短期集中型の学習方針」や「長期的な補習方針」など、様々なカリキュラムを提示することが出来ます。理解度と授業内容とのズレが生じた場合にも、その状況に応じて学習のスピードを変えることも可能です。トライアル・アンド・エラーの形式を取ることで、理解度の向上を図ることも可能でしょう。

また、クラブ活動や他の習い事等と並行して受講を薦められるのも大きなメリットです。集団授業では授業時間が決まっており、「塾と習い事」「塾とクラブ活動」との間で問題が生じることが多くありますが、個別指導の場合はその面にも柔軟に対応することが出来ます。

個別指導の弱みも「柔軟性」…

上記では個別指導の「強み」について触れました。ただ、その強みが逆転し、「弱み」となるケースもあります。「柔軟性」は武器となる一方で、個別指導の弱みともなります。
柔軟に授業内容を変え、生徒のレベルに合わせるからこそ、授業の進度は遅くなりがちになります。
しっかりと生徒に理解してもらうことはもちろん重要ですが、多くの場合塾に通う上での最終目標が「受験」「テスト」などに置かれる以上、学習進度に大きな遅れが生じないようにもする必要があります。

広告的にわかりにくい「個別指導」

また、大きなデメリットのひとつとして、授業の質・内容が受講見込みの方やその保護者の方に伝わらないということも挙げられます。

通常、集団授業ですと学習内容のカリキュラムが提示されるケースが多く、受講を検討される方にも授業内容がわかりやすくなっています。授業内容だけでなく、テキストやテストがサンプルで閲覧できる場合もあります。
映像配信授業も同様です。授業が単元別にパッケージとされているケースもあります。

それに対して、個別指導はオーダーメイドによる授業内容設定となっています。これは前述の通りメリットではあるのですが、受講を検討されている方にとっては「実際にどのような内容を、どのようなレベルで」受けられるかがわかりづらいものとなっています。内容がわからない、必要な受講時間もわからない。さらに、月に必要な金額もわからない。わからないづくしで、結果としては通うための検討材料となる情報がほぼ全て隠されている、ということになります。
「わからない」ものに対して飛び込むことは相当な勇気が必要です。店頭に商品サンプルや値段表示がないお店には入りづらいですよね。個別指導塾ではそれと同じ状況が生まれがちです。

近年はどの授業形式であっても「体験授業期間」を設けている塾がほとんどです。その「体験授業」までたどり着くための情報が個別指導では少なすぎます。

講師管理の問題

さらに、個別指導に起こりがちなのが、講師管理の問題です。

講師の採用に関しては、それぞれの塾で知恵を絞り、採用後も研修等を通じてレベル面・モラル面の育成に努めています。個別指導の場合は、集団授業よりもどうしても講師の数が必要となるため、上記の育成だけでなく、現場でのしっかりとした管理が必要となります。

講師が予習をしているか、講師が間違った内容を教えていないか、当初決められたカリキュラムに沿った授業展開が出来ているか、学習面での管理はまず絶対条件となります。塾の商品は「授業」です、商品の管理、質の向上は常に意識して取り組まねばならない最優先事項です。

学習面の管理を行う一方で、モラル面の管理にも留意する必要があります。
講師同士に険悪な関係が発生していないかはもちろんのこと、生徒と講師の関係が険悪化していないか、あるいは「親密すぎる関係」になっていないか、常に目を光らせる必要があります。ささいな人間関係から授業放棄、退塾に繋がるケースは多くあります。

また、担当講師はその生徒の個人情報を取得しうる存在であることも留意しなければなりません。講師が電話番号や住所等の個人情報を取得したことから、大きな事件が発生しないとも限りません。個人情報をどう取得・保管・使用するかに関しては、約束事を決める必要があります。

以上、総論的な内容となりましたがいかがでしょうか。個別指導のデメリットの方に多くの記事を費やしましたが、これは「個別指導の自由性」の難点をしっかりとご確認いただきたかったからです。

自由であることと、放埓となることは異なります。放埓とならないように管理するのが、個別指導教室の経営者の役割となります。その点をご確認いただくきっかけとしていただければと思います。