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塾経営で成功する人の条件

どういう人がビジネスで成功するのか、このテーマについては良く議論されていますし、本も多数出版されています。塾の経営についても、成功するには同じことが当てはまるのでしょうか。

確かに当てはまる経営者の方もいるように思えますが、世間で言われている「ビジネスで成功する人」とは雰囲気の異なる方も、上手く経営されている現実もあります。そこで「塾」という特有の世界で成功する秘訣があるのか、塾経営に向いている人はどういう人なのかを、このコラムではご紹介したいと思います。

塾を起業する際の「経営意識」とは

本来起業するにあたっては、マーケティングを重ね事業計画を作り込むことも必要なはずです。しかしそのようなビジネス理論とは縁の無さそうな方でも、順調に生徒数を増やしておられるケースは多々あります。そんな彼らに共通するキーワードがあるのです。それが「社会貢献」です。ビジネスで大稼ぎをしたいとか、大きな塾に育てたいという希望が無いわけではないのでしょうが、彼らはそれを目的とした経営をしていないのです。彼らがビジネスの目的としているのは、「自分の仕事で地域社会に貢献したい」という純粋な想いなのです。その結果として、大きな利益を出せたらいいなとか、塾が大きくなったらいいな等と願望を語りますが、あくまでもそれは結果論であり、目的ではないのです。

多くの会社の「企業理念」や「社是」に「社会貢献」という文字が見受けられますが、塾を起ち上げる方々のほとんどは、もっと純粋無垢な熱い想いを持っています。「儲ける」という言葉に対して露骨に嫌な顔をしたりする傾向があるのは、そのせいだと言えます。

子供たちの成長に貢献する

塾を成功させるキーワードである「社会貢献」の中身を詳しくみていきましょう。それは「地域の子どもたちのために力を尽くしたい」という想いです。勉強で解らないことがあれば、解るように導く。知識欲に溢れる子どもには、どんどん新しい世界や高度な思考方法を伝えていく。子どもたちの成長していく過程に係われることを最大の喜びとしているのです。

そして肝心なことは、そこに利益を稼ぎ出すという発想がほぼ無いということです。無償のボランティアではないのですが、売り上げとコストというような経営意識は欠片もありません。解らないことがあれば、解るまで時間をかけますし、状況に応じて練習問題をたくさん用意したりします。これらの行動は、経営者意識に溢れている人にとっては愚行にしか思えないでしょう。「今教えている時間分の授業料を支払ってもらったら〇〇〇〇円になるのに、もったいない」等という考えが頭をよぎるでしょうし、実際に保護者の方に追加での支払いをお願いするのかもしれませんね。でも成功している方々は、そんな発想を全くもっていないのです。お金が目的ではないので、「子供たちの笑顔と成長」のためだけを考えているのです。

塾の経営を成功に導く「社会貢献」

いわゆる経営意識に欠け、「社会貢献」意識だけを持つ塾の経営者がなぜ成功するでしょうか。

それは、子どもと保護者の絶大な「信頼」を勝ち取ることが出来るからです。特に保護者からの「あの先生は本当によく子どものめんどうをみてくれる」という口コミが強力な推進力となって、生徒の獲得につながっていくのです。生徒の獲得の為に子どもたちのめんどうをみるのではなく、子どもたちのめんどうをみた、その結果として生徒が増えたという流れが、成功への道筋と言えるでしょう。私利私欲が垣間見えていたら、このような「Success Road」は歩めなかったと言えます。

生徒が増えた後の分かれ道

さて、社会貢献意識だけで生徒を増やしてきた塾は、大きな岐路に立たされることになります。生徒が増えれば増えるほど、今までのやり方では手が回らないからです。教室数も増やす必要性がありますし、教える講師も確保しなければなりません。そうでなければ、今までのように十分に子どもたちのめんどうをみることが出来ないのです。

そこで一つのやり方として生徒数を一定数に絞り込み、それ以上は増やさないという方法です。しかしこの方法を良しとする経営者は実は少ないようです。それは社会貢献意識が高いので、早く申し込んでくれた人だけとか、一定水準以上の生徒だけというような条件を付けて生徒を募集することを拒む傾向があるからです。自分を頼ってくれるならば、なんとか期待に応えたいと強く思っているようです。

そうなってくると、経営者としてのビジネス感覚が求められてくるのですが、従来の社会貢献意識とどう調整できるかが大きな課題となります。ここからがまさに経営の分かれ道。順調に成長する塾とそうでない塾にはっきり分かれます。

運営者としての「塾経営」

先ほど、生徒数を一定数に絞り込む方法があるとご紹介しましたが、実はこれはブランディング手法としてかなり有効な方法です。その塾に通えることが一種のステータスになりますから、生徒一人当たりの単価を上げることもできます。子どもたちのめんどうみの質を下げないようにするためなんだと割り切ることさえできれば、非常に有効な経営判断と言えます。

一方、生徒数を拡大していく路線を歩むことになった場合は、「経営する力」を必要とします。しかしそもそも利益を出すことを目的として成功してきた訳ではありませんから、中途半端な経営となり、徐々に保護者の信頼を失って生徒数を減らしてしまうという結果を招くことが少なくはありません。子どもがたくさんいた30年前であれば、それでも何とかなったと思いますが、今の少子化の時代に失敗は致命的です。

では今の時代に塾が生き残っていくためには、どのように経営していくべきなのでしょうか。

それは、経営者が「自分は運営者」という意識に切り替えることです。子どもたちや親の信頼を勝ち取ることができる「運営者」としての誇りを持ちつつ、経営については他者の協力を得ることができるかがポイントなのではないでしょうか。信頼のおける経営コンサルタントの導入や納得のできる組織のフランチャイズとして塾を経営していくのです。このような冷静かつ客観的な判断ができる人が、塾を短命に終わらせない本当の「塾経営者」なのではないかと思います。

まとめ

子どもたちや保護者の信頼を勝ち取ることができ、生徒を集めることができる運営力と塾の経営力は全くの別物と考えてよいのではないでしょうか。そこを上手く調整して経営できる方もいらっしゃいますが、多くの方は次第に尻すぼみの結果を迎えているようです。経営コンサルタントやフランチャイズを上手く利用し、自らは運営者として今まで通りの運営を続けることができれば、長続きできる塾を作り上げることができます。「経営」のために、多少妥協せざるを得ないこともあるはずです。後悔しないように納得がいくまでじっくりと話し合いをして、決断をしましょう。

今の時代、ヒーローは一人で戦うことはありません。皆、仲間と一緒になって困難を克服しています。それ程価値観の多様化が進み、対応方法も多岐に亘るのです。だからこそ、ビジネスパートナーと上手く協力し合うことが、塾経営者に求められる資質と言えるのではないでしょうか。