未分類

塾マーケティングとしての出版 -Part2-

こんにちは、城野優です。前回は、「塾マーケティング」を目的とした出版のメリットと出版の種類についてお話しさせて頂きました。今回は、実際に出版を行なう際にどのように出版社へコンタクトを行えば良いのかという点や出版企画の立案方法についてご紹介させて頂きます。

出版社へのコンタクト方法

「出版」というと出版社へ勤務している知人がいたり、何からしらのコネクションがないと出版できないというイメージを持たれがちですが、実は全くそんなことはありません。

殆どの出版社では通年で企画を公募で募集しており、公募という形で出版社とコネクションがない方でも出版企画の提案が可能です。出版社のホームページ上の「企画募集」の窓口から応募ができるケースが多く、また「企画募集」の窓口がない場合は「連絡/質問事項」の窓口から出版企画の提案を行いたい旨を伝えれば大丈夫です。そうすれば出版社の方から出版企画の提案を行う場合の連絡先や提案を行う際のフォーマットの案内をして頂けるかと思います。

一般的に出版社が出版の企画を決定する場合には、出版社側で企画を考えて企画にフィットする執筆者を探すケースと、一般公募の企画を選ぶケースの2つのパターンがあります。週に1回或いは、月に1回の出版企画会議の中で、出版社側で考えた企画と一般公募の企画の比較検討を行い、相対的に「売れそう」な企画を出版企画として決定します。

どの出版社で出版を行なうか?

出版社の数も膨大な数がありますので、どの出版社で出版を行なうかという方針をある程度固めておく必要があります。出版企画の採用難易度という観点でいうと大手出版社ほど採用される難易度が高く規模が小さい出版社ほど出版企画が採用される難易度が低いという傾向にあります。
例えば、講談社や集英社のような大手出版社から出版を行なうのは非常に難易度が高い一方で、もう少し規模が小さい、サンマーク出版社やディスカバリー21社であれば少し採用難易度が下がります。

もう一つ重要な観点としては、「企画ジャンル」という観点があります。特定のジャンルに特化した出版社であれば、出版社のジャンルとのマッチングが高ければ高いほど採用される可能性は高くなります。
例えば、小学館社やエール出版社は教育・学習関連の書籍にフォーカスして出版を行なっており、教育・学習関連の企画であれば、採用される可能性が高いといえるでしょう。出版社の規模に関わらず教育・学習関連書籍は市場規模がそこまで大きくないため、初めて出版を行なう場合には、出版部数は3000部~5000部の範囲にとどまり、「出版部数」という観点では大きな違いはありません。従って、企画が採用される可能性が高い、”教育・学習関連に強い”、”規模が中小規模”の出版社に絞って企画提案を行なうのが効率的と言えるでしょう。

出版企画の立案方法

出版企画の立案を行う際には、出版社の企画検討会議において、数多くの公募の一般企画と出版社のプロが考えた企画がライバルになることを念頭において企画設計を行う必要があります。「企画が売れる理由」「他書との差別化ポイント」などを明確にしなければなりません。出版社の人間が納得するための企画書に仕上げるためには企画書の構成が重要になります。少なくとも下記の項目を企画書の中に盛り込む必要があります。

-書籍名(書籍タイトル)
-企画背景/企画概要
-ターゲット層/推定ターゲット人数
-類似書との差別化ポイント
-なぜ自分達が出版しなければならないのか?(他の人が同じ内容で執筆するのではなく、自分達が執筆するべき理由)
-章構成
-塾(執筆者プロフィール)

出版社の企画担当者に「売れる」と確信して頂くためには、多くのターゲット層が存在するという「層の広さ」と、本の内容がターゲットに確実に刺さるという「深さ」の2つが重要になります。

「層の広さ」についてはターゲット層及び推定ターゲット人数で表現することができます。プロの作家が出版企画の企画書を作成する時には、一歩踏み込んでターゲット層の「ペルソナ」を明確化します。
「ペルソナ」とは、「都内在住、御三家中高一貫校に通う高校2年生の息子を持つ専業主婦。息子がバスケットボール部を引退し、受験対策を本格的に行うため、入塾を検討しているところ」のように、ターゲット層をよりリアルに具体的に表現した姿のことです。「ペルソナ」を設定することで、出版社の企画担当者にリアルにターゲット層をイメージして頂くことができます。

また、「深さ」については、企画背景・企画概要、類似書との差別化ポイント、なぜ自分たちが出版すべきなのか、という項目で表現します。類似書や他の塾(執筆者)ではなく、自分たちが出版すべき理由を明確にすることで、企画を自分達が実現することが、世の中に必要であるということを示すことができます。

自分たちが出版すべき理由については、”Reason to believe(信じる理由)”という言葉で大手グローバルメーカーの新商品開発の企画書でも必ず盛り込まれている項目です。企画自体が良くても、ライバル会社がその企画を実現した方が世の中のためになるのであれば、自分達がその企画を実現する意義はないからです。

今回は、「塾マーケティング」を目的として出版を行う際の出版社へのコンタクト方法、出版企画の立案方法についてご紹介させて頂きました。次回は具体的な本の構成案・執筆方法についてご紹介させて頂きます。

関連記事

塾マーケティングとしての出版 -Part1-
塾マーケティングとしての出版 -Part3-