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塾講師の採用がビジネスの成功を左右する

ビジネスにおいて、教育分野は労働集約型産業の代表例です。事業活動は労働力次第であり、売り上げを増やすためには、人件費を高める必要があります。つまり労働力がビジネスの成功を決めると言っても過言ではありません。一昔前のように、大きな教室にたくさんの生徒を詰め込んで労働コストを下げ、利益率を高めようとすることは、自殺行為にしかなりません。このような状況下ではいかに優秀な講師を採用し、育てるかということがビジネスの成功を左右するのです。

学生を採用する理由

塾の講師といえば学生、ということに異論を挟む余地はないでしょう。誰もがそう思っています。でも、本当にそうなんでしょうか。学生を塾の講師に採用する根拠をあなたは言えますか?
学生を採用する理由はいろいろと挙がるでしょうが、大きく分けて以下の3つの理由に集約できると思われます。

①生徒と年齢が近い
②勉強に対しての関心が高い
③時間的余裕がある

しかし今時の真面目な学生に、③の時間的余裕をあまり感じられません。大学の授業に真面目に出席し、サークル活動やアルバイトもこなす。なかなかに多忙な学生生活を送っています。長期の休みの時には、就職を意識して様々なアルバイト体験もしたがります。そのために、今時は一人の学生に多くの授業を担当してもらうことは難しいのです。したがって当然人数を確保しなければなりません。

こうやって学生を塾の講師に採用する根拠を見直してみると、主な理由は①と②になることが分かります。その中でも特に①が最も重要でしょう。生徒と年齢が近ければ、生徒が親しみやすさを感じることは間違いありません。少し前に自分と同じような問題を抱え、解決してきたであろうと期待できることが、生徒にとっての救いなのです。立派な「大人」の先生では自分の未熟さが露呈してしまいます。引け目を感じることで、生徒は先生と距離間を感じてしまうのです。生徒と年齢が近い学生は講師としては理想なのかもしれません。

学生以外に講師としての採用対象がいるのか

さて、学生以外に講師として採用できる対象はいるのでしょうか。ビジネスとして教育は、労働集約型であると最初に確認しました。講師の人件費はできるだけ抑えなければなりません。いくら優秀な人材でも、コストを意識せずに採用することは不可能です。そこでできるだけコストを抑え、かつ学生の不足分を補う人材を探す必要があります。そんなに都合の良い人材がいるのか?と思われるでしょうが、実はいるのです。それは主婦です。

主婦となると、学生のように生徒と年齢的に近いというケースはほぼありません。しかし、母親的な視点での気づかいとフォローを売りにすることができます。主婦も様々な事情で、日数多く仕事を頼むことはできないでしょう。しかし学生との組み合わせで考えれば、十分戦力になります。今まさに、日本が女性の活躍の場を増やそうとしている政策にも当てはまります。学歴があり、教育に関心のある主婦はたくさんいます。子育てがある程度終わったような世代ならば、主婦が週に何日か塾講師をして帰宅時間が遅くなっても、家庭で大きな問題になることもないでしょう。

講師の採用基準

勉強ができることは当然でしょう。
しかし、それ以上に大切なことが二つあります。これは絶対に見逃してはいけない採用基準です。その二つとは、「責任感」「コミュニケーション能力」です。どちらが欠けてもいけません。またまた繰り返しになりますが、教育は労働集約型のビジネスです。労働力が売上・利益に直結します。その意味で、生徒ときちんとコミュニケーションが取れることが大前提です。加えて、自己都合ばかり主張するようなタイプでは、生徒の信頼を失います。コミュニケーション上手で、責任感の強い講師は必ず人気講師になれます。友だちに自慢し、その友達を塾に連れてきてくれます。

では、コミュニケーション能力や責任感はどうやって確認すれば良いのでしょうか。これは、採用時の面接で、雑談をすれば分かります。塾とは関係のない話をすると、露骨にむっとする方がおられます。中には、雑談中に「何の関係があるんですか?」と鋭い言葉を発する方もいます。「あなたという人をよく知りたいので、お聞きしました」と答えると、「採用には関係ないと思います」と憤慨される方も・・・。教育はサービス業でもあるので、このようなリアクションをされる方は不向きだと判断して間違いはないかと思います。また「生徒さんのことを考えると、できるだけ休まずに授業をお願いしたいのですが」とお伝えして、「こういう場合は休めますか?」等と具体例を挙げて聞いて来られる方がおられます。このような方は責任感があるからこその質問だと理解しましょう。具体例があまりにとんでもない内容であれば、話は別です。逆に「たぶん大丈夫です」と安請け合いされる方は、心配です。採用されることだけを考えた返答だと推測されるからです。

まとめ

若さと親近感で生徒を引き付ける学生講師は、塾の表看板です。元気とパワーが溢れる教室でなければ、生徒は集まりません。しかし、学生にはない気配りとフォロー能力を持つ主婦講師も裏看板として大事な役割を果たします。様々な分野で女性目線が重要視されているように、塾の運営についても全く同じです。学生講師を前面に出しながら主婦講師に支えてもらうという態勢が、今後の塾運営には必要だと思われます。学力や指導力は責任感があれば、心配しなくて大丈夫です。講師が各自勉強します。ただ責任感やコミュニケーション能力というものは、研修では身に付きません。本人にその気がなければ身に付きません。講師の採用では責任感とコミュニケーション能力を重視することが、労働集約型ビジネスにおける売り上げ増・利益増につながるのです。

Gaku

大学入学直後から塾講師のアルバイトを始め、大学3年時には大手の進学塾講師となる。そこで経験した「研修」に魅了され、週4日授業を担当して、学生ながら新卒の年収以上を稼ぎ出す。大学卒業後も、塾講師のやりがいを忘れられず正社員として大手進学塾に再就職。現場経験を計15年積んだ後は、本部職員として事業計画・売上予測作成や収納管理、人事、財務の経験を積む。現在は創業支援や外国人のビザ申請取次などをする行政書士として事務所を経営中(http://www.gaku-office.com/)。